【完】ちょいワル先生と優等生


「おー茜?どうした」





翌日の放課後。


保健室の中からそんな声が聞こえる。



相手はもちろん、私の従姉妹の茜ちゃん。



お兄ちゃんも、先生も好きだった茜ちゃん。



きっと先生は今でも好きだろう茜ちゃん。




…そっか。連絡取り合えるんだね。




そんなことでいちいち傷付いてしまう。





「今日は帰ろう…」





茜ちゃんと話してる先生なんて見たくなくて、ドアに伸びる手を引っ込める。





「可愛いよ。
やっぱ…うん。好き、なんだ」





なんだ…好きなんじゃん、茜ちゃんのこと。



涙が溢れそうになって慌てて上を向く。





「…でも今はダメなんだよ。
いろいろ話つけなきゃいけない人がいて」





…それってもしかして私のこと?



茜ちゃんと想いが通じ合ったから、身代わりだった私は邪魔になった…とか。




茜ちゃんは自分の家に帰ってしまって、しばらく見ていない。




お兄ちゃんとどうなったのかも知らない。


< 54 / 84 >

この作品をシェア

pagetop