【完】ちょいワル先生と優等生
また今日も終わっていく。
とぼとぼと歩く家路の最中、聞き覚えのある声が私を引き止める。
「ゆず!」
「茜ちゃん?!」
先日、自分の家に帰ったはずの茜ちゃん。
先生に会いにでも来たのかな?
「…」
先生ならきっとまだ学校にいると思うよ。
そう言ってしまえば、茜ちゃんは学校に向かうのだろうか。
でも、先生の元を離れたといってもやっぱり未練があるから応援できない。
私は先生みたいに、先生と茜ちゃんを引き合わせることなんか出来ないよ…
できれば一緒にいてほしくないって思ってしまう。
それで、身代わりでもいいから私が先生の傍にいたいって…まだ思ってしまうんだ。
「ゆず、髪切ったのね〜」
「あっ、えと…そうなんだ!
洗うのも乾かすのも楽になっちゃった」
「そうよね〜
でもやっぱり長いのも長いので良かったなって思うよね」
「伸ばすの?」
「んー…どうかな」
きっと先生は長い髪の茜ちゃんが好きだよ。
高校時代の茜ちゃんが今もまだ頭の中にいるから。
「長い時は短い髪に憧れるし、短くしたら長い髪に憧れる…そういうもんよね」
先生といる時は私を見てほしくて、先生と離れてしまった今は身代わりでもいいから傍にいたい…
こんな風に思うのは単なる私のわがままでしかないのかな…?