【完】ちょいワル先生と優等生
「ねえ。ゆずちゃん」
「うぅううぅ~…」
「うなってないでさ」
「わ…わかりました…一回だけですよ!」
そう意気込むけどやっぱりそうは上手くいかない。
だってだって恥ずかしいもん。
先生すごい嬉しそうな顔してるし…
「す、きです…えっとあ…愛、してます…」
「誰を?」
そっそんなの口に出さなくてもわかるじゃん!!
「倫哉……先生」
「ふふ、じゃあちょーだい」
先生はそう言ってチョコを指さす。
私は手が緊張で震えてしまうのを必死で抑えながらチョコをつまむ。
そのまま先生の口の中へ入れる。
椅子に座った先生と、立っている私の視線が交わる。
髪はもうすっかり黒色で一見誠実そうで爽やかそうに見えるのに、
私を見つめる先生の瞳はギラギラと光っている。
目も唇もオーラからでさえ先生の全てに
私の全てが囚われてしまう。
動けなくなってしまう。
頭の中は先生でいっぱいになるし、先生といると落ち着いたり落ち着かなかったり忙しないけど、好きだって感情だけは残り続けるんだ。