【完】ちょいワル先生と優等生
新しい扉 *3/14 追加
「…くしゅんっ」
「花粉症?」
「そうで……くしゅんっ」
大変だね、なんて笑って言う先生の隣を歩く。
今日は3月14日。
世にいうホワイトデーだ。
とっくに春休みに入った私は少しだけオシャレに力を入れて来た。
だって…今日はホワイトデー。
少しは期待してしまうでしょ?
*
「目、つぶってて?」
お昼ご飯を食べた後、先生にそう言われて素直に目をつぶる。
なんだか首元がくすぐったい。
「開けていいよ」
目を開けるとテーブルの上に鏡があって、覗くと私の首にはネックレスがかけられていた。
ハートが可愛く、光り輝いている。
「これ…!」
「この前ほしいって言ってたでしょ?」
「でも…」
雑誌を見て、ほしいと思ったのは間違いない。
でもちゃんとしたブランドのものでめちゃめちゃ高かったんだ。
だから諦めてたのに…
「こんなに高いの…」
「一緒にしないでほしいんだけど?」
「え?」
「高校生とか、ガキと一緒にしないでよ。
俺はもう立派な大人なの。彼女にこれっぽっちもプレゼントできなくてどうするの」
そう言って満足気に笑う。
そっか。先生は大人で…私はやっぱりガキ、なのかな。