【完】ちょいワル先生と優等生
「持っていてください」
手を出してって言われて出すと、冷たいものが落ちてくる。
これって…
「鍵…?」
「そう。
…ここの」
珍しく倫哉さんが恥ずかしそうに顔を逸らす。
口元を手で隠しながら加える。
「今日買った食器も、ゆずちゃんの…だから」
「私の…」
どうしよう。嬉しい…
「ここで俺が帰ってくるの待っててくれてもいいし、なんならその…歯ブラシとか着替えとか置いといて泊まってっても…いいし」
恥ずかしくなったのか最後の方はドモリ声になっていたけど、それだけ本気で考えてくれてるんだって嬉しくなる。
これで…入れるんだ。
もし、これで大学生になって離れ離れになるんだとしても…会いに来られる。
それがとてつもなく、嬉しいんだ。
「ありがとうございます…!
待ってます。ここで帰りを待ってます」
「な、なんか新婚みたいだから…そのセリフはダメ」
「えぇ〜何でですか!」
私の言葉に顔を赤くするこの人とは対照的に私は嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
*
「おかえりなさい!」
「ただいま」
一目惚れしたというエプロンをつけて俺を迎えてくれるゆず。
キッチンからはいい匂いが漂ってくる。
「ご飯にしますか、お風呂にしますか?」
「だから新婚みたいなセリフはダメだって」
新婚"みたいな"じゃなくて、"本物の新婚"の時に言ってほしいから。
それまで待ってて。
…というか俺がゆずの大学卒業を待ってるんだけどね。
就職先なんて決めなくていいよ。
…永久就職、なんてね。
おまけ✧‧˚ 新しい扉 Fin...
♡Happy-Whiteday♡ **柊。**