好きだよ。
どうしてなの?
あれから数日…。

柳君は転校した。

正直安心してる。三上君と智美にはほんとに感謝してるんだ。


「それでさぁ今日ねぇ〜」

智美と2人で話している時。

グイッと引っ張られて振り向く。

「山田…君?」

急な出来事に驚いてしまう。

え?なんで?


山田君は驚いてる私をおかまいなしに私をどこかへ連れて行く。

着いたのは校舎裏。


口を開いたのは山田君からだった。

「なんで最近…俺を避けてる?」

悲しそうにでも力強く私に聞いて来た。

それは、君が好きだからだよ。

なんて言えやしないけど。

「山田君の、恋を、応援するため」

泣きそうになるのを堪えて必死に笑顔をつくる。

「…は?」

なんでだ、とでもいいたいような顔をする山田君。

「山田君、佐々木さんが好きなんだよね?だから私が近くにいちゃいけないかなって」

ポロっと涙がこぼれてしまった。

気付かれないように…下を向いた。

「俺…好きな人…佐々木じゃないよ。」

と真顔で言う彼。

そっか、ほかにいるんだね。

と安心したのもつかのま。

「でもさぁお前。」

一気に声が低くなった山田君。

「男なら誰でもいいわけ?」

え…?

「なんで…そうなるかな。」

と下を向きながら聞く。

山田君は…一段と声を低く

突き刺さるような冷たい声で

「柳と体育館倉庫行ったじゃん。柳…嬉しそうに出てきたし。なに、やましいことでもしたの?」

と聞いてくる彼。

顔を見上げるとその顔は

あまりにも冷たくて悲しい顔だった。

「違うっ…。」

「違くないだろ!」

と叫ぶ山田君。

初めて見る彼にビクッとなってしまう。

「現に、いろんな奴に告られて、喜んでるんじゃねーの?」

なにを言ってるんだこの人は。

私のなにを知ってるんだ。

どれだけ君のことで悩んで。

柳君に苦しめられたか。

知らないくせに。

「もういいよ。そう思っとけばいい。」

自分でも驚くぐらい低い声が出た。

「なに泣いて…」

なんで泣いてるんだろ。

ずるい女じゃん。これじゃ。

もういいや。

走って山田君の元から去った。
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