八百比丘尼と新選組-800歳の少女-
八百比丘尼、という不老不死の生き物が生まれたのは、平凡な毎日からだ。




私はいつものように、近くの川で洗濯をしていた時だった。




「都!」




聞き慣れた声で自分の名前を呼ばれ、振り向くと狩りから帰ってきた父さんがいた。




「父さん、おかえり」




「おうただいま!」




私には母親も兄弟もいない。




父との二人暮しだ。




「今日は肉を狩ってきたぞー!」




そう言って、既にさばかれていたお肉を掲げる。




「やった!最近食べてなかったもんね」




「そうだなぁ…。ほら、お前も早く終わらせてうちに帰ってこいよ」




「うん!」




私は父さんに微笑んで、洗濯をする手を急がせた。
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