八百比丘尼と新選組-800歳の少女-
“都へ

これを読んでいるということは、
俺は既に死んでいるということだろう。

実は俺は、お前に隠し事をしていたんだ。

覚えてるか?もう何十年も前に食べた肉の事。

あれ、実は人魚の肉なんだ。

人魚の肉を食べてしまったらそいつは不老不死と化す。

つまり、お前は不老不死となってしまった。

本当にすまん。

お前の不老不死となった原因が俺だが、
お前が16歳の姿のまま生きているのを見ていると
胸が苦しくて、苦しくて、仕方がなかった。

俺がいなくなって、都はひとりになってしまった。

無責任な父親でごめんな。

俺があの時、人魚の肉なんか食べさせなければよかったんだよな。

すべて俺のせいで、大切な娘が苦しみながら生きていくなんて、本当に悔しい。

でもその気持ちの反面、これから大切な人をたくさん作っていってほしい。

あまり人と関わったりしなかった都に、宝物のような人と思い出を作ってほしい。

無責任で、最後まで迷惑かけっぱなしだった父親を許してくれ。

そして、ここから何百年と生きる中で、大切な人を見つけてください。

長年世話になった。ありがとう。

父より”
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