君の指先が囁いてる
出逢い
俺は産まれ時から視力が無かった


『母ちゃん、俺は何で目が見えないんだ?』


五歳になった俺は母ちゃんに聞いてみた


『それはね神様に選ばれたからなんだよ、翼なら大丈夫』


『母ちゃん俺、神様なんかに選ばれたくなかったよ、母ちゃんの顔も見たいし父ちゃんの顔も見たいよ』


母は泣き出し翼の手を握り自分の顔に手をあてた


『翼、母ちゃんの顔わかるかい?触って想像してごらん』


翼は泣きながら母の顔に触った


『母ちゃん、母ちゃん』

泣きながら触った


母ちゃんの目から涙が流れ落ちてくるのがわかった


『母ちゃん...』



俺は母ちゃんを泣かせてしまった


五歳にして、もう母ちゃんを泣かせないって決めた五歳の冬だった






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