君の指先が囁いてる
無言のまま空気が流れる



俺は勇気を出して話しかけた


『挨拶が遅れてすいません。本田翼です、茜さんとお付き合いさせてもらってます』


やはり無言だった...


茜が口を開いた


『お父さんも、お母さんも黙ってないで何か言ってよ』


茜の父親が俺の名前を呼んだ



『翼君、すまん』


やはり....



こうなる事は、わかっていた


いつか来るって、わかっていた....


俺が茜が好き


茜を生んでくれて、両親に悲しい思いをさせたくない




けど俺は....


茜を諦めたくない


俺は頭を下げてお願いした



『茜さんとの付き合いを認めて下さい』


俺は何度も何度も頭を下げた


俺の横に座り、茜も自分の親に頭を下げていたのが、わかった

茜....
ごめんな


自分の親に頭を下げるような事をさせて

茜の両親は、やはり無言だった....


諦めたくない


俺には茜が必要なんだ


茜といると俺が幸せなんだよ


君の優しい声を、もっと聞きたいんだよ



茜が強行突破に出た

『お父さんと、お母さんが認めてくれないから私、この家、出て行く、翼、行こう、この人達に話しても無理だよ、翼、帰ろう』

茜は俺の手を引っ張り玄関に向かった


茜の、お母さんが玄関に来た



俺は茜の、お母さんの言葉に救われた







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