天音's短編小説集
「僕も、元は会社員でそういう会社の渦に飲み込まれるのがいやで逃げた人間なんで偉そうなことは言えないです」
「でも、バーテンダーさんは今こうして好きなことを仕事にして私の癒しになってくれてるじゃないですか」
「癒しになってますか?」
「なってますとも!」
週末のこの時間、ここに来ることが私の楽しみになって、そのために頑張ってるようなものだもの。
「お客様はとても頑張り屋なんだろうなと思いますよ」
「えぇ?そうですか?そんなことないです」
「いつも愚痴を言いながら、最後はよし頑張ろうと自分を奮い立たせているじゃないですか」
それは、バーテンダーさんが励ましてくれて、話を聞いてくれるからスッキリして前向きな気持ちになれるから。
「だから、応援したいと思うんです」
「ありがとうございます」
「あの…」
バーテンダーさんが少し言いたからそうにしながら続ける。
「もっと、個人的に貴方を応援させてもらえませんか?」