天音's短編小説集
ソファに横になったままの格好で、俺は彼女に手を伸ばす。
「こっち向いて」
「うん」
CHU
伸ばした手で彼女の腕を引くと唇を重ねる。
「ちーが足りない」
俺がそう言うと、千歳は顔を真っ赤にさせた後、嬉しそうに唇を緩ませた。
「私の膝!あいてるよ!もっともっとぎゅーってしていいよ!」
「…それはいい」
「え―――――!!」
ぶーたれる健気な彼女。
俺は満足してほくそ笑む。
“面倒くさい”が俺たちの愛ことば。
「まぁ、膝だけかりとこっかな」
「もちろん!」