甘すぎてずるいキミの溺愛。
「嫌なら自分から離れたら?」
「っ、」
いつもいつもわたしより上をいく尊くんに敵わない。
わたしが離れないってわかってるくせにこんなこと言うんだもん……。
スッと抱きしめる力を弱めてわたしから距離を取ろうとする。
ほら、イジワル……。
「……そんな顔してもダーメ」
「ぅ……」
「千湖からこないと抱きしめてあげない」
さっき大人しくしとけばよかったと心の中で後悔した。
尊くんは一度言ったらそれを撤回することをしない。
だからわたしから離れたところで、わたしをただジーッと見つめるだけ。
けっして触れてこようとしない。
「尊くん……ズルイよ…っ」
「なにが?」
「わかってるくせに…っ」
そう一言、尊くんに言ったあと、
一瞬、フッと勝ち誇ったような笑みが見えて
そのまま自分から尊くんに抱きついた。