甘すぎてずるいキミの溺愛。
だけど、あの日の尊くんの美郷さんを見つめる瞳が……頭の中から離れない。
「雪野くんも何考えて千湖に構うのかねー」
「ただの暇つぶし……とか?」
「わたしにはそんな風に見えないけどなー。千湖をそばにおいておきたいんじゃない?」
「なにそれ……」
だって、尊くんはわたしがいなくたって何とも思うわけなくて。
反対に、わたしにとって尊くんの存在はとても大きいもので。
だから、そんな期待させるようなこと言われたら勘違いしてしまう。
いままで期待して、思い通りの結果が返ってきたことなんかないのに。
「あ、やばっ、次の時間移動じゃん」
「ほんとだ、急いで移動しないと」
次が移動教室だってことを忘れて話し込んでしまっていた。
急いで教室を出る準備をして、
小町とふたり、教室を出ようとした。