甘すぎてずるいキミの溺愛。
すると、廊下のほうから。
「あのー、このクラスに花井千湖さんっていますか?」
ん?なんかわたし呼ばれた?
呼ばれた気がして、声のする方に目を向けると、黒縁メガネをかけた男の子がひとり。
わたしの存在に気づいたのか、バチッと目が合うと、何やら慌てた様子を見せていた。
そして、教室の中に入ってきて。
わたしの席までやってきた。
「あの。いま時間とかあったりするかな?」
照れた顔をしながら、髪をくしゃくしゃとして。
「え、わたしですか?」
「うん」
え、いきなり呼び出しってなんだろう。クラスも名前も知らない男の子。
すると、帰る準備ができた小町がわたしの席にやってきた。
「ん?千湖どーしたの?」
「あっ、えっとー」