甘すぎてずるいキミの溺愛。



「俺もそんな深くは知らないけど。たぶん美郷のこと好きだったことは確かだと思うよ」

「っ……」


そして、尊くんがなぜ一人で暮らしているのか。


それも美郷さんが原因だった。


家にいると、美郷さんの姿をよく見かける。もちろんお兄さんと一緒のところを。


それを見るのが辛くなったこと。


そして。


「……まあ、家族の仲も悪かったからね」


尊くんは自分の家族が嫌いだと、戸松くんに言っていたそう。


尊くんのお兄さんは、ご両親に将来をとても期待させるくらい優秀で、何もかも完璧にこなしてしまう人。


そんなお兄さんといつも比べられて、比べられるたびに、自分よりも優れているお兄さんに敵わないことを思い知らされていると、自分の存在を否定するようになってしまったそう。

< 160 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop