甘すぎてずるいキミの溺愛。
━━コンコン。
「はぁい、どうぞ」
扉をノックすると、中から可愛らしい声が聞こえた。
「失礼します」
扉を開けると窓から風が吹いて、目の前いた空園先生の髪がなびいた。
長くて、きれいな髪からふわりと花の香りがした。
「放課後なのにお手伝い頼んじゃってごめんなさいね」
「あ、いえ……」
ダメだ、さっき戸松くんに言われたことが頭の中でリピートしてる。
『美郷は……周りが思ってるほどいいやつではないよ』
つまり、これはわたしへの警告ってことだろうか……。
そうとしか聞こえな……
「花井さん?」
「あ……」
ひょこっとわたしの顔を覗き込んできた。
にこっと、微笑みながら「大丈夫?」なんて心配をしてくれる。
とても、戸松くんが言うような人とは思えない。