甘すぎてずるいキミの溺愛。



必死に教材を持つ手に力を入れる。


ただ、先生がこの学校の卒業生ってだけで、たまたま旧校舎の話をしているだけ……。

何も深く考えることなんかない。


そこから尊くんに結び付けることなんかないはず

そう、ないはずだった━━━。


「尊くんってまだあの部屋使ってるのかなぁ」


━━バサッバサッ!!


教材が床に散らばる音。


「ど、どうしたの?大丈夫?」

「だ、だいじょ……ぶです」


「実は、尊くんのお兄さんもこの学校の卒業生でね?あの旧校舎のある一つの部屋の鍵を卒業と同時に持ってきちゃって。

それを弟の尊くんにあげたって言ってたから。きっとサボり魔の尊くんのことだからその鍵使ってるんだろうなぁって。あ、今の尊くんには内緒ね?」


内緒なんて……言われなくても全部知ってる。

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