甘すぎてずるいキミの溺愛。



それよりも今は、美郷さんがもこの学校の卒業生だったことに驚いた。

まさか……尊くんは美郷さんを追って、ここに……?

なんて、余計な考えがよぎる。

戸松くんはご両親が勧めたからって言っていたけど。


「し、知ってますよ……」


強がってムキに対抗してしまった。


そうきっと、わたしが尊くんのこと何も知らないと思われたくなくて。

こんなことを言ってしまったんだ。


「そうなのね。あの子秘密主義なところあるから誰にも言ってないと思ったんだけどなぁ」


「わ、わたしだけ……特別に教えてもらったんです」


こういうときだけ特別って言葉を利用する。


「あ、そういえばこの前一緒にいたの花井さんだったものね」


「そ、そうです……ね」


床に散らばった教材を震える手で必死に拾う。

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