甘すぎてずるいキミの溺愛。



これは同意しろって言われてるんだろうか。

「べ、別に…わたしは気にしないのでお好きにどうぞ…」


わたしの答えに空園先生はパッと笑顔を見せて、尊くんは何も言わなかった。

すると、空園先生は何を思いついたのか、自分のカバンからスマホを取り出した。


そして、画面を見て数秒。


「ほらほら、花井さん見て。これね、中学の時の尊くんなの!」


見せられたのは先生と、尊くんのツーショット。


「この時の尊くんってば、ほんとに素直じゃなくてね?反抗期だったのかなぁ?写真もぜーんぜん撮らせてくれなくて」


わたしが知らない昔の尊くんをこの人はたくさん知っている。

それを突きつけられているみたい。


「他にもね、尊くんと撮った写真あるんだけど、どこにあるかなぁ」


……ただ、無邪気に昔の写真を見せているだけなのに。

もはやそれすら、作為的なものを感じてしまう。

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