甘すぎてずるいキミの溺愛。



「……でも、尊くんだけは特別だから許してあげる」


そのまま、空園先生の綺麗で長い指先が、尊くんの唇に触れたのが見えた。


っ……、バカ

そうやってすぐ顔に出したら、ますます空園先生の思うツボ……。


「そのかわり、内緒だからね?」


……ダメだ、もう無理…っ。


耐えきれず、何も言わずに席から立ち上がってしまった。

やってしまった……。

今立ち上がるのはあまりに不自然すぎた。


「花井さん?どうかした?」


どうかした?なんてよく聞けたもんだ。

わかってるくせに……全部自分の思い通りとか思ってるんでしょ?

わたしの反応を見て。


「い、いえ……ちょっとトイレ行ってきます…」


考えついた言い訳はこんなものしかなかった。

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