甘すぎてずるいキミの溺愛。
こんな風に、自分の全てを受け止めてくれる人を好きになることができたらどれだけ幸せだろう。
報われない想いなんて捨てて、
目の前のわたしのことを想ってくれる人を好きになることができたら
きっと不幸になる人なんていないのに……。
***
「もう大丈夫そうかな」
「うん……」
あれから、少し時間が経った。
三宅くんはわたしを抱きしめるだけで、何も聞いてはこなかった。
ただ、時折わたしが涙を流すと、何も言わず、背中をさすってくれた。
「もう…戻らないと」
「そっか。空園先生の手伝い?」
「うん…」
「何かあったら、俺でよかったらいつでも呼んで。すぐに駆けつけるから」
こんなにも三宅くんは頼もしくて、素敵な男の子なのに…。
なんで、わたしの気持ちはひたすら尊くんにしか向かないの…。