甘すぎてずるいキミの溺愛。
うそ……っ…。
じゃあ、倒れる寸前に呼ばれたような気がしたのは……。
『……千湖…!』
あぁ……もう
どうして大切な……好きな人の声を
忘れてしまっていたんだろう。
今になって、その声を鮮明に思い出した。
間違いない…あの優しく触れるように、抱きしめてくれたのは…
わたしが知っている尊くんの温もり。
だから、安心して身を預けられたんだ…。
「周りの目も気にせず、すぐに花井さんに駆け寄って、ここまで運んだ雪野くんはほんとにかっこよかったよ」
「っ……」
じゃあ、どうして……
目が覚めたとき、隣にいてくれなかったの……?
「俺もすぐに保健室に駆けつけたんだけど、花井さんが目を覚ます前に雪野くんが保健室から出て行くところを見たんだ」