甘すぎてずるいキミの溺愛。
なんで……わたしが目を覚ます前に
いなくなっちゃうのさ……。
「その時、引き止めたんだけど……」
黙り込んだかと思えば、都合の悪そうな顔をして。
「雪野くん言ったんだ。花井さんが目を覚ました時、自分がそばにいるより、俺がそばにいてあげたほうがいいって」
なに…それ……。
勝手なこと言わないでよ。
そんなことわたしはこれっぽっちも思ってないのに。
「だから、花井さんのこと助けたことも、ここまで運んだことも、全部俺がやったことにしといてって言われたんだ」
最後に「そのほうが、千湖にとっては幸せだろうから」
と言ってその場を去ろうしたとき
さらに、微かにつぶやきが聞こえたそう。
「……どうせなら僕がそばにいてあげたいけど。きっと千湖はそれを望んでないから」と。