甘すぎてずるいキミの溺愛。
「……そーゆー声そそられる」
おかしい……逃げたいのに、逃げられない。
危険な囁きが
逃がそうとしてくれない━━━。
「や、やめて……っ」
「そんな声で言われても効果ない」
フッと笑った声が聞こえて、さっきまで抱きしめていた力が緩められて、
視線がぶつかる。
少し上を見上げるとさっきよりも、彼の顔がはっきり見えた。
とても澄んだ瞳をしているのに……
その瞳はどこか寂しそうに見える。
その瞳はきっと忘れられない。
触れられた感覚が、抱きしめられた感覚が……わたしをおかしくさせる…。
もう、ダメだって……引き返せないところまできてしまったと、思った。
そう、この瞬間……
視線がぶつかった一瞬……
━━━恋に落ちる音がした……。