甘すぎてずるいキミの溺愛。
***
「ねぇ、尊くん?」
放課後、今日は学校が早く閉まってしまう日なので、尊くんのお家にお邪魔している。
「どーかした?」
取り壊しのことを知っているのか、知らないのか。
呑気にわたしが作ってきたチョコのマフィンを食べている。
「あの部屋……取り壊しになるんだって」
と、わたしが落ち込みながら伝えてみたら。
「へー、そう」
なんとも、うすーいリアクションで返されてしまって、さらにショックを受けた。
「リアクション薄くないですか?」
「そう?別にふつーだけど。てか、これ美味しい。もう一個ちょーだい」
ショボンっと落ち込むわたしを無視して、ふたつめのマフィンを手に取り、黙々と食べている。
わたしだけなのかなぁ、こんな風にいろんな想いがあるのは。
尊くんにとっては、たいしてそんなに思い出のない場所にしかすぎないのかなぁ。