甘すぎてずるいキミの溺愛。
何年か経って、美郷は僕を選ぶことはなく、兄貴と今でも続いている。
わかってはいたけれど、なんともいえない虚しさに襲われた。
結局、自分は兄貴には何一つ敵わないんだって思い知らされているみたいで。
昔からそうだった。
何もかも、兄貴には勝てなかった。
両親も兄貴には期待しているけれど、
自分にはそんな期待の目を向けられたことなんかほとんどない。
……完璧すぎた。
ほんとに隙がない。弱点とかあるんだろうかって思うくらい。
別に自分と兄貴を比べる必要なんてなかったけど。
どうしても比べてしまう自分がいた。
それが影響してか、家にいることが息苦しくなり、高校に入学したと同時に家を出た。
自分が高校に入学したときに、兄貴はすでに家を出ていたけど、自分も出たいという気持ちは変わらず。