甘すぎてずるいキミの溺愛。



「……人の顔そんなに見てどーかした?」


「あ……」


いけない、ひとりの世界に入り込みすぎて完全にフリーズして尊くんをガン見していた。


早くプリント持っていかなきゃいけないのに!!


「尊くん、プリント!!」


バシッと軽く尊くんの頭を叩いた。
するとむすっとした表情を見せて


「千湖のくせに生意気」


そんなことを言いながら席を立ってプリントを渡してくれたと思ったら


「あ、それ何も書いてないから」

「え、え!?」


プリントの中を見ると見事に白紙。
名前すら書いていない。


「あと次の授業サボるから先生に伝えといて」


「え、あっちょ!!」


わたしがひとりで慌ててる間に尊くんは教室を出て行ってしまった。


どこに行くかなんて知ってる。
尊くんがサボると大抵いつも同じ場所にいる。

尊くんいわく、秘密基地…らしい。


てか、これどーするのさ。
白紙で出されても困るのに。


ため息が漏れそうになったとき次の授業の始業のチャイムが鳴った。

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