甘すぎてずるいキミの溺愛。



***


そして放課後。
わたしは少し離れた旧校舎までやってきた。

普段誰も近寄ることなんかない旧校舎。もちろんそんな古い校舎に用事なんない。


だけど、ここにはある人がいるから。


旧校舎のいちばん奥の部屋。全ての部屋に鍵がかかっているのに、奥の部屋だけは開いている。


そこにいるのが……


「尊くんのバカ!」

「……いきなり何なの」



尊くんだ。

入るなりいきなり怒鳴ってやった。


ここは尊くんの秘密基地。

授業をサボるとき、放課後はだいたいここにいる。


なんでも、尊くんにはお兄さんがいるみたいで、

そのお兄さんもここの高校に通っていて、尊くん同様サボるのにこの部屋を使っていたそう。

そのままこの部屋の鍵を返さず卒業してしまってそれを今は尊くんが使っている。

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