甘すぎてずるいキミの溺愛。
な、なんで。
尊くんは女の子なんかに興味なくて
近づいてきたって相手にしなかったくせに。
目の前の光景が受け入れられない。
「えっ、ゆ、雪野くん……?」
「……なに?」
女の子はあんなに頬を赤くして。
無理もない…尊くんに抱きしめられたらあんな風になってしまうのは。
それはわたしがいちばんわかってる。
あんな風に抱きしめてもらえるのは
わたしだけだと思ってたのに…。
あぁ……やだ、泣きそう。
尊くんは誰のものでもない。
だからわたしに泣く資格なんて無い。
だけどこれ以上このふたりを見るのはなかなか辛い。
再びギュッと目をつぶって、ふたりを視界に入れないようにする。
そして涙が溢れないように。