甘すぎてずるいキミの溺愛。



だけど会話は耳に入ってきてしまって。


「あ、あんまり近いとドキドキしちゃう……」


「……もっとドキドキしてみる?」


もう無理だ……。
胸が張り裂けそう。


このまま飛び出していけたらいいのに。

尊くんはわたしのだからって。

尊くんに触れていいのはわたしだけだからって。


……言えたらいいのに。



「……なーんてね」

「え?」


「残念だけど、僕キミには興味ないんだよね」


「な、なんで……」


急に態度を変えた尊くん。


「キミじゃ近くにいてもドキドキしないし、いじめたくならない」


うっすら目を開けると、なぜかこっちを見つめる尊くんの姿があった。


「……僕にはもっと欲しい子がいるから」


フッと浮かべた笑みはいつもの尊くんの表情だった。


そのまま女の子は泣きながら図書室を飛び出していった。

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