とろけるようなキスをして[短編]完
今の会話でお分かりの通り。
わたくし、渡瀬あやは、さっきの男「愁くん」もとい、「川上愁」が好きなのです。
川上愁との出会いは突然だった。
川上愁は隣のクラスのヤツで、ある日突然私の教室に来て、
『渡瀬あやちゃんって、どなたですかー?』
と叫んできた。
引き気味に、「私、ですけど‥」と言うと、
『渡瀬あやさんっ!!』と、大声で名前を呼ばれ、
びっくりした私まで「は、はいっ!」と大声で返事をしてしまった。
恥ずかしい‥と思い、黙って下を向いてると、
『一目惚れしました!
オレと付き合って下さいっ!!』
と、聞こえた。
あ、れ?コレって私に言ってる‥よ、ね?
そう思い、顔を上げてみると‥
真剣な目でコチラを見ている。
うん。確実に私に言ってる。
私に好きな人はいない。
でも、好きでもない人とは付き合えない。
だから返事は決まっていた。
「ごめんなさい‥」
川上愁は、私が告白を断った次の日から、毎日、朝と昼休みに私の教室に来るようになった。
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