とろけるようなキスをして[短編]完
放課後、友達はみんな部活なので、私は1人で帰る。
帰り道の途中には小さな公園がある。
久しぶりに寄っていこうと思い、公園に入ろうとした。
入ろうとした、がやめた。
公園のベンチに仲良く座っている男女を見つけたのだ。
川上、愁‥‥‥と、知らない女の子。
女の子は背を向けていて分からないが、ここからは川上愁の表情がよく見える。
幸い、私には気付いていないみたいだ。
『愁くんっ』
その女の子が、かわいらしい声で名前を呼び、川上愁を見つめる。
川上愁の声は聞こえないが、女の子の方を見て、微笑んでいる。
『好きです!付き合って下さいっ』
女の子がそう言った瞬間、時が止まった気がした。
川上愁が女の子に返事をしているのだろう。真剣な顔をしている。
女の子がまた何かを言った。
すると川上愁は‥‥
顔を赤くして、
小さく頷いた。
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