とろけるようなキスをして[短編]完

 
「んっ‥‥」
 
 
ゆっくりとまぶたを開ける。
 
ああ、そうだ。ここ保健室だった。
 
早く教室に戻らなきゃ!
 
 
そう思って、ベットから出ようとした――――が、出来なかった。
 
 
『あやちゃん。』
 
 
なんで。
 
 
『ずっと眠ってたよー?』
 
 
どうして。
 
 
『もう少し寝たままだったら、オレ確実襲ってたよー♪』
 
 
あんたがいるのよ。
 
 
『あやちゃん?』
 
 
 
川上 愁‥‥
 
 
『あやちゃん、シカトっすかー?
 
お仕置きにキスしちゃうぞーっ♪』
 
 
 
「‥‥‥‥‥いいよ。」
 
 
『えっ!?あ、あやちゃん?』
 
戸惑ったあいつの声が聞こえた。
 
 
そりゃあそうだろう。
 
いつもは触れることさえ許さない私が、
 
キスを許したのだから。
 
 
『あやちゃん、分かってる?キスだよ?キ・ス!』
 
 
「分かってる。」
 
 
あぁコイツは‥‥なんて顔してんのさ。
 
 
川上 愁、知ってる?
 
そういう顔を、マヌケ面っていうんだよ?
 
.
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