END OF THE WORLD






60歳の高齢にして元トップ国軍指揮官。
今のアベルと同じ地位にいた男。
この国は王族の次に国軍の役職者が敬われる。

今はツルツル頭のお爺さんだがその昔は大層モテていたらしい。…アベルも同じように禿げればいいのに。


「ところで一報とは?」

「テラルとの協定の件。またあそこのお姫様がお前に会いたがってるそうだ」

「さすが大人気のアベル様。また敵国のお姫様にもご好意を持たれてるとは」

「憎たらしく嫌味を言うのをやめろ…」


溜息をついているアベルは、女性に対して紳士ではあるがどうもテラルの姫は苦手としている。彼曰く、ケバい女は嫌いなのだとか。
しかしアベルが気に入られてるからこの国とテラルは争いが収まっていると言っても過言ではない。この男の存在が国と国を繋げているなんてどこまでも可笑しな話である。

「テラルはこの国と違って資源が溢れてますからね。下手に振ったりしたら後ろから刺されるだけじゃ済まないですよ」

「…はぁ、だからいつも面倒だと言っているんだ。」


嗚呼、艶のある髪を掻き上げて溜息をつく姿が様になっているのがまた悔しい。
シロは盗み見ながらナイアンのお茶を用意して、彼を座らせた。手紙があったくらいだ、どうにも話が長くなりそうである。


「贅沢な話じゃないか、一国の姫に好かれてるんだぞ。有難い話だと思いなさい」

「あの匂いが無理なんだって、シロの方が比べるまでもなくいい匂いがする」

「、なっ」

「こら、セクハラだぞ。…こんな孫を持って苦労する、いやこの孫の部下をしているシロが一番苦労してるんだろうなあ」



その通りですとも。


シロは苦笑いで頷いた。


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