俺を好きにならないで
「ごめん。困らせたね……」


「あ。ち、違っ」



違うんだとそう言おうとしてテーブルに置いてあったカップを盛大に倒した。


中には紅茶が少し入っていたため、その全部がテーブルにこぼれる。



「あ、ごめん!」



私はいったい何をやっているんだ。



「大丈夫?飲み物服にかからなかった?」


「うん、大丈夫。ごめんね……」



自分の不甲斐なさに泣きたくなる。


深見くんを困らせてばかり。


うだうだと悩むからだ。


私は私らしく前を突き進めばいいものを。


でも深見くんに好かれたい思いが私を引き止める。
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