俺を好きにならないで
自販機にそもそも飲みたいものがなかったのか、それともこの「売り切れ」のココアが飲みたかったのか。


なんとなく気になって振り向くと、彼女はココアのボタンをしきりに押しているのが見えた。


飲みたかったのはココアだったのか。


その行動が可愛かったからか今じゃもう分からないけど、俺は自分から声をかけていた。


俺だってココアが飲みたかったはずなのに気づけば彼女にココアを譲り、コーヒーを買っていた。



何故かわからない。



きっとこの時から好きになっていたんだと思う。


これが俺と小森美紅との出会いだった。
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