俺を好きにならないで
室内に入ると冷気が遮断され、体が少し落ち着く。


深見くんのあとについて歩いているが、私はなんとなく目的地がわかった。



「侑李」


「んー?なに?」


「ちょっと席外して?」


「なんでだよ。教室に戻るんだろ?方向は一緒じゃん」



すると深見くんは頭を横に振って否定する。



「すぐには戻んない」


「そーですか。分かりましたよ。邪魔者は消えろということですね」



少し拗ねたような口振りでものを言いながらも、長谷川くんは1人、教室の方向に帰っていった。


私達は彼を見送り、見えなくなったところで互いに顔を合わせる。



「ココアでいい?」


「うん。深見くんはコーヒー?」


「そうだね」



目的地はあの自販機だった。
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