俺を好きにならないで
急にこの自販機に連れ出されたかと思えば、ココアをくれて?かつ、放課後お茶を?


急展開についていけない……。



「デート。ダメ?」


「別にお茶くらい……え?デ、デート!?」


「うん」



うるうるとした瞳でじっと私を見る。


子犬のように甘えてくる彼はミステリアスな印象など全くなく、ただただ可愛いなって思った。



「ダメ?」



もう。そんな甘え方されたら、断れるわけないじゃん。



「ダメじゃないです……」



私がそう答えると彼の表情が一気に明るくなった。


今までに見たことのない、とびきりの笑顔を向けるから、私の胸はキュンと跳ね上がった。
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