俺を好きにならないで
「頂けません!」


「でもそしたらこのココアは捨てるだけになる」


「うぅ」



ココアを捨てるだなんてもったいない。



「な、なら!何が飲みたいですか!?私が代わりに買います」


「お金はいらない」



そういうと彼は私の手を離し、自分の小銭を自販機に入れてあっさりとコーヒーを買った。



「はいココア。さっき買ったばっかりだからまだ温かいよ。それじゃ」


「あ……」



あまりにもスマートな動きだったため、お礼を言い損ねてしまった。



彼から受け取ったココアの缶はまだ温かかった。
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