ワンコ系Drの熱烈アプローチ
電車に飛び乗り、鮎川先生のマンションがある最寄り駅を目指す。
ホームに降り立つと、改札口へと向かって走った。
駅からほど近い鮎川先生の住まいには、一度しか行ったことはなかったけど、迷わず足を進めることができた。
個性的なオシャレな建物が見えてくると、呼吸を整えるように足を止める。
ゆっくりとエントランスへと向かっていくと、ガラス張りの自動ドアから、鮎川先生がどこか急いだ様子で出てくるのが見えた。
「鮎川先生!」
「……下村ちゃん?!」
「あっ、すみません、押しかけてしまって。どこか行かれるところでしたか?」
鮎川先生の様子にそう尋ねると、「何言ってんの」と言いながら足早にこっちに向かって歩いてくる。
すぐ近くまで距離が迫ると、走り出すようにして正面からいきなり抱き締められていた。