ワンコ系Drの熱烈アプローチ


「あっ、あの」

「やっと会えた……」


頭の上から、ホッとしたような声が降ってくる。

連絡がつかなかったことが、かなり心配させてしまっていたようだ。


「すみません……スマホの充電が切れちゃって、それで、連絡できなくなっちゃって……」


そう理由を告げると、腕を解いた鮎川先生は私の頭をコツっと軽く叩く。

「出掛ける時はちゃんと充電する」と、仕方なさそうに笑った。


「ごめんなさい……心配かけて」

「いや、俺の方こそごめん。気使わせて」


そう言いながら私の手を取った鮎川先生は、エントランスへと向かって歩いていく。

エレベーターへと乗り、住まいの階数ボタンを押した。

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