ワンコ系Drの熱烈アプローチ
「……鮎川先生、私、やっぱり次の四月から、衛生士学校に入学したいと思いました」
部屋へと着き、鍵を開ける鮎川先生にそう宣言すると、鮎川先生は振り返って私の顔をじっと見つめた。
「今日、学校見に行って、気持ち固まった感じだ」
「はい。院長に、相談してみようと思います」
「そっか」
ドアを開くと、今日も奥からスーちゃんがダッシュで玄関に駆けてきた。
鮎川先生の足元をくるくる回るスーちゃんに「こんにちは」と挨拶をする。
「上がって」と先に靴を脱いだ鮎川先生に言われ、「お邪魔します」とパンプスから足を引き抜いた。
「鮎川先生、何か、色々ありがとうございました」
先にリビングへと入っていった鮎川先生を追ってそう声を掛けると、テーブルにキーケースを置いていた先生はキョトンとした顔を私に向ける。
「何か、ぼんやりと考えていたこと、先生に後押しされた感じで。学校のことも、今日、誘ってもらったことも」