ワンコ系Drの熱烈アプローチ
その手に包まれることを予想すると、どきんと鼓動が自然と大きな音を立てる。
ゆっくりと歩み寄っていくと、鮎川先生は腕を引いて私を優しく抱き締めた。
「でも、ちょっと心配かも」
「え……何が、ですか?」
「下村ちゃん可愛いから、臨床実習とか出たら、どっかのドクターに狙われそう」
「そっ、そんなことないですから!」
思わず腕の中から顔を見上げると、鮎川先生はどこか悪戯に笑みを浮かべている。
「律己先生みたいなドクターに言い寄られたら、ときめいちゃうんじゃないの?」
「なっ! なんてこと言うんですか!」
わざと意地悪な言い方をしてくる鮎川先生に、言い返す言葉が見当たらない。
私を見下ろしながら首を傾げるその様子に、
そっと目を伏せた。
「私は……鮎川、先生が……」