ワンコ系Drの熱烈アプローチ
「えっ、合コン?! 弥生ちゃんが?」
週末、金曜日。
昼休み前の十二時半過ぎ、消毒室で器具の片付けを一緒にしていた優ちゃんは、診療室に聞こえてしまいそうな声を出して私の顔を覗き込んだ。
「しっ!」と“静かに”のポーズで優ちゃんを黙らせる。
消毒室の入り口から診療室を覗くと、午前最後のクリーニングの患者さんを診る浅木さんはこちらの声には気付いていない様子でブラッシング指導を行なっていた。
「ごめんごめん、つい……で、どういう心境の変化?」
「心境の変化? 別に、私は通常通りだよ」
「でも、弥生ちゃんからそういう話聞いたことないし」
確かに、合コンに参戦するなんて話を優ちゃんにしたことは過去にない。
元々、私がそういう飲み会とかに興味もないことは周知の事実でもある。