ワンコ系Drの熱烈アプローチ


「あっ……鮎川先生?!」


これは、私が席を間違えたのか。

一瞬そんなことを思ったものの、「えっ、知り合い?!」という鈴の声も聞こえる。

ハッとして席全体を見回すと、席に着いた鈴と夏美の姿が見えた。


「な、なんで……」

「とにかく、座りなよ、ね?」


鈴の声に、呆然としながら空いている鮎川先生の前の座布団に腰を下ろす。

掘りごたつになっている下に足を下ろすと、いきなり前から足を軽く蹴られ「痛っ!」と声を上げてしまった。


「何するんですか!」

「まさか、下村ちゃんがくるとはな……」

「それはこっちのセリフですよ! 何でいるんですか!」


そんなやり取りをしていると、女子側真ん中に座る夏美が「あっ!」と声を上げた。

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