ワンコ系Drの熱烈アプローチ


初めての“合コン”の雰囲気は、主催の鈴とその彼氏はラブラブな様子で、合コンをセッティングしてほしいと頼んだ夏美は、向かいにいる銀行員の彼と盛り上がっていた。

お互い数合わせで参加した私と鮎川先生に至っては、ポツリポツリと今日の仕事の話なんかしてしまって、医院の飲み会の席かと思ってしまう合コンとは思えない時間を過ごしていた。


「この後だけど、カラオケとか行かない?」


程よく酔いも回りお開きが近付いた頃、鈴がみんなに向かって二次会の誘いをかけた。

夏美と銀行員の彼は行く様子を見せている。


「弥生ちゃんも行こうよ!」


帰らせてもらおうと言おうとしていた時、銀行員の彼が私に向かって声をかけてきた。


「え、あ、私は……」

「下村ちゃんも俺も明日仕事だから、今日は帰るわ」


今日はこれで遠慮します。

そう私が言うより先に、鮎川先生がとなりの彼にそう言っていた。

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