ワンコ系Drの熱烈アプローチ
どうやら鮎川先生は、私がさっきの目撃でショックを受けてしまったと思って飲み直しに誘ってくれたらしい。
気遣いはありがたいけど、そこまで悲しんでると勘違いされるのも癪に触る。
「と、に、か、く! ショックとか、別にそういうの大丈夫ですから。お気遣いは感謝しますけど」
「じゃあ、俺とかどう?」
……。は、はい?!
いきなり何の話になったのかと、横の鮎川先生にバッと顔を向ける。
私の視線を受けた鮎川先生は真っ直ぐ前を向いたまま、平然とした顔をしてグラスに口をつけていた。
「え……な、何がですか」
俺とかどう?の意味が掴めなくて、返す言葉につまってしまう。
話の流れ的に、ストレートに受け取ればとんでもないことを言われていると思う。
だけど、受け取り違いかもしれないと思うと、早とちりして変なことを口走れない。