ワンコ系Drの熱烈アプローチ
下村ちゃんは、朝の一件を俺が目撃していたことに気付いていなかった。
「今朝のあれ、実は同じ車両に乗ってて目撃してたんだよね」
そう言ってみると、下村ちゃんは大きな目を驚いたように見開いた。
「見てたんですか?!」と慌てた様子が可愛くて、ちょっといじってみたくなる。
「さすがに素手はまずいでしょ。どーすんの、もしB肝とかC肝の人だったら」
「あの時は咄嗟で……そこまで考える前に拾っちゃってて」
テヘッと笑ってみせる下村ちゃんは、職業柄以前に普通に優しい子なんだな、という印象を強めた。
あの時から、すでに彼女に惹かれていっていたんだと思う。