ワンコ系Drの熱烈アプローチ
雲の上の人なんです
もう完全にパニックに陥っていた。
冗談とか、からかわれているわけではないとわかったら、余計に頭が真っ白になってしまった。
鮎川先生が、私を?
しかも、そんな前からずっとだなんて、信じられない。
私ばかりが緊張している状態で、鮎川先生には相変わらず照れる様子なんか全く皆無。
目を合わせれば、普段通りの余裕な表情でにこりと微笑まれてしまう。
「あのっ……ありがとう、ございます」
そう言いながらまた急激に恥ずかしくなって、グラスの中に視線を落とす。
今、髪をアップにしていることを果てし無く後悔していた。
髪を下ろしていれば横顔を隠せたのに、完全に真っ赤な顔が丸出し状態になっている。
「うん。あ、でも別に、そんなお礼言われることじゃないけどね」
「いえ、そんなことは! ありがたいと言いますか、そんなこと言ってもらえるなんて……」